歯周病の方が行くべき歯医者はクリーニングよりも噛み合わせを重要視している歯医者です。見つけ方は難しいですが、症例集の中で歯周病のページも充実しており、苦手な方もいるかもしれませんが、外科的な処置を高頻度でやっているクリニックがお勧めです。その理由は後述します。
世の中歯周病予防と言うと定期的なクリーニング、メンテナンスが大事だと呪文のように言われますが、実際のところはまず噛み合わせと言うリスク因子があって、その上で汚れと言う因子の掛け算で決まってくるものです。
まずこちらの画像をご覧ください。

こちらは骨が部分的に溶けてしまった症例で、歯周病治療の難しさを物語っております。これはすごい汚れていると言うわけではありませんでしたが、歯に対する噛み合わせの力が1本に特にかかっており、歯のポジションも移動しています(隙間ができているのが見えると思います。)このことから言えるのは、歯周病は汚れだけが原因ではなく、歯に物理的な要因が働くことで、歯を支える骨に負荷がかかり、その結果骨を溶かしで行くと言うメカニズムとなります。この状態でいくらクリーニングをしても歯にかかる力のコントロールができなければ歯周病を止めることはできませんし、そもそもこちらの画像のように歯茎を外科的にめくって、中の炎症起こしている歯茎を除去しないと何も変わりません。つまりお掃除だけをしているだけでは、何も意味はなく、根本的な理解とそれに対する治療法が必要なのです。
こちらの記事を見ている方が、歯医者に行った時に、骨格の話をされた事はありますでしょうか?
人は3種類しかいません。
上顎が出ている人(上顎前突)
下顎が出ている人(反対咬合)
上とした顎のバランスが取れている人
です。
この中でも叢生と言う歯並びが悪い人や開咬と言う奥歯だけで噛んでいて、前歯が噛んでいないと言う噛み合わせもあります。
8020運動と言う昔の日本政府が掲げた80歳で20本の歯を残しましょうと言うスローガンがありますが、今の時代は達成しやすくなってきているものの、上顎がやけに出ている人、下顎がやけに出ている人、開咬の人などは達成できないと言うふうに言われております。それは骨格のバランスが悪いため、前歯と奥歯の力のバランスも不均衡でどちらかに過大な力がかかります。大体は奥歯にかかることが多いので、まず奥歯から骨が溶け、歯周病だったり、歯根破折の原因となり抜歯となります。そして歯がなくなるとさらにそこから拍車がかかり、次の手前の歯もなくなる悪循環になっていきます。
つまり、骨格や歯並びで、ある程度その人の歯の寿命と言うのは決まってきます。歯医者であれば、誰しもが知っている答えがあるのに、骨格の分類だったり、噛み合わせの話をしてくれない歯医者は歯周病のことをあまりにも軽く見ています。
歯医者に行って、歯周病かどうかの話をするときに、まず噛み合わせの話から入る先生はとても信頼ができるでしょう。
では、その上で歯周病とは何かお話しします。歯周病とは、歯を支える骨が溶けて、歯茎が炎症起こしている状態であり、歯周ポケット4ミリ以上で出血がある状態です。
そして、歯周病のゴールとは何かと言うと、現在の歯周ポケットを減らし、これ以上悪くならないと言う環境を作ることです。
歯周ポケット4ミリ以上は歯ブラシの毛先が入らないと言われていて、例え1時間歯を磨いてもあまり意味がありません。歯周ポケットを3ミリ以下にして、出血(炎症)をなくすことがベストですが、4ミリ以上でも出血(細菌にとっての栄養)がなけ現状維持できる可能性があります。4ミリのポケットがある方は、ご自身でのケアに限界があるためクリーニングをして、炎症を抑制していくことが大事です
では歯周病治療の流れについて解説します。基本的には下記のような流れとなります。

歯周病が重症化している方にとっては、外科処置はあまりしたくないとは思いますが、先程の歯周病のゴールの話でもしましたが、歯周ポケットをご自身でもケアできるような環境を作ることが大事ですので、治療しないとそれが叶わない場合も多いです。なので一見歯周病と言うとクリーニングだけをしているようなイメージだと思いますが、1番大事なのは、外科処置に関しても目をつぶってでもできるような自信を持った先生が1番信頼ができると思います。