『虫歯が大きく、神経まで細菌感染しているので神経を除去しなければなりません。』
『根っこの先端で膿の袋ができているので神経の再治療をしなければなりません。』
と歯医者さんで言われたことはありませんか?
おそらく根管内に細菌感染を認め根管治療やその再治療が必要になっているケースです。
このような根管治療を始めると、【神経をとったのにも関わらず、痛い】【歯茎が腫れてる】などの症状を生じることがあり、当院ではセカンドオピニオンの方も多数来院されます。
今回は、[他院で根管治療中だが痛みが続いているケース]と[数年前に根管治療を行ったが噛むと痛い]、2ケースを紹介致します。
ケース①[他院で根管治療中だが痛みが続いているケース]
このケースの痛みの原因は、神経の残存が原因でした。今回の原因歯の上顎第一大臼歯は、MB2と呼ばれる4根管目が存在しますが、とても細く見逃しが大きいです。もちろん、4根管目がない歯もありますが、今回はMB2の神経が残存しており痛みが続いていました。
今回の症例のCTです。三次元的な画像で4根管が確認できました。

マイクロスコープ(顕微鏡下)でも4つの根管を目視できました。

数回の来院で根管内の感染がなくなり、患者さんの症状もおちついたので根管充填まで終えました。レントゲン所見も根尖(根の先端)までしっかりと充填剤が入ってるのが確認できました。

ケース②[数年前に根管治療を行ったが噛むと痛い]

初診時のレントゲン写真です。根管充填剤が根尖まで充填されてないのがわかります。
さらにCT撮影の結果、MB2が認められ、顕微鏡下で処置されていませんでした。

マイクロスコープ下で、MB2を見つけ拡大洗浄。イスムスの除去。

再根管治療の末、症状の改善が認められたため根管充填。レントゲン写真で確認。

今回の2症例に共通しているのは、MB2と呼ばれる根管の未処置でした。もちろんMB2が元々ない歯や、原因がそれ以外の場合もあります。なかなか消えない痛みや違和感の原因を解明するには、CTやマイクロスコープの力を使い診断するのがよいです。痛みに直結することは少ないですが、マイクロスコープで歯根の破折(根が割れる折れる)を早期発見できることもあります。診断を間違えると、主訴の解決につながらないので診断は非常に大切です。
もし、現在治療中の歯や以前治療した歯に違和感がある方はコスモクリニックへご相談ください。
歯科医師
横江絢子