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交通事故外来

交通事故外来について

交通事故外来について

交通事故外来は、交通事故によって受けた口腔内や顎顔面領域の外傷を専門的に治療する診療科です。

当院では、歯の破折、脱臼、顎骨骨折、軟組織の損傷などに迅速に対応し、機能と審美性の回復を目指します。総合歯科として、緊急時の対応から長期的なフォローアップまで、一貫した治療を提供します。

交通事故で起こりやすい
口腔外傷の種類

交通事故で起こりやすい口腔外傷の種類

交通事故では、衝撃の強さや方向によって、さまざまな口腔外傷が発生します。

最も多いのは、歯の破折(歯が欠けたり、折れたりすること)と歯の脱臼(歯が抜けたり、位置がずれたりすること)です。前歯は特に衝撃を受けやすく、交通事故外傷の約70%を占めます。

歯の破折の種類

破折の4つのタイプ

歯の破折には、いくつかのタイプがあります。

  • エナメル質破折
    歯の最も外側の層のみが欠ける軽度の破折です。
  • エナメル質象牙質破折
    エナメル質と象牙質の両方が欠ける中等度の破折です。
  • 歯冠歯根破折
    歯の頭の部分(歯冠)から根の部分(歯根)まで縦に割れる重度の破折です。
  • 歯根破折
    歯の根の部分だけが折れる破折で、外から見ても分かりにくいことがあります。
神経が露出している場合

神経が露出している場合は、細菌感染のリスクが高いため、迅速な治療が必要です。

神経が露出すると、強い痛みを感じたり、冷たいものや温かいものがしみたりします。放置すると、神経が壊死したり、根の先に膿が溜まったりする可能性があります。

歯の脱臼の種類

脱臼の4つのタイプ

  • 完全脱臼
    歯が完全に抜け落ちる状態です。適切な応急処置と迅速な受診が、歯を救えるかどうかの鍵となります。
  • 亜脱臼
    歯がぐらつく状態です。歯は抜け落ちていないものの、歯根膜が損傷しているため、早めの受診が必要です。
  • 陥入
    歯が歯槽骨(歯を支える骨)内に押し込まれた状態です。見た目では歯が短くなったように見えます。
  • 側方脱臼
    歯が外側にずれた状態です。歯の位置がずれているため、噛み合わせに影響が出ることがあります。

顎骨骨折と軟組織の損傷

顎骨骨折の特徴と症状

顎骨骨折も交通事故で多く見られる外傷です。下顎骨は、顔面骨の中で最も突出しており、衝撃を受けやすい部位です。

下顎骨骨折の好発部位は、下記の3つです。

  • オトガイ部(顎の先端)
  • 下顎角部(エラの部分)
  • 下顎頸部(顎関節の近く)

顎骨が骨折すると、噛み合わせがずれたり、口を開け閉めできなくなったり、顎が腫れたりします。

軟組織損傷の症状

唇や頬、舌などの軟組織が裂けたり、切れたりすることもあります。軟組織の損傷は、出血を伴うことが多く、神経や血管が損傷している場合は、感覚麻痺や大量出血を起こすことがあります。

交通事故直後の応急処置

交通事故直後の応急処置

完全脱臼(歯が抜けた)場合の対処法

歯が完全に抜け落ちた場合、迅速な対応が歯を救う鍵となります。

抜けた歯は、歯根の表面に歯根膜(しこんまく)という組織が付着しており、この組織が生きていれば、歯を元の位置に戻して固定することで、再び定着する可能性があります。

歯根膜を守ることが最優先

歯根膜は乾燥に非常に弱く、30分以内に適切に保存しないと死んでしまいます。歯根膜が死んでしまうと、歯を元に戻しても定着せず、数年以内に抜け落ちてしまいます。

抜けた歯の洗い方

抜けた歯を見つけたら、歯の根元(歯根)を触らないように注意しながら、水道水で軽く汚れを洗い流します。

ゴシゴシ擦ったり、洗剤を使ったりしてはいけません。歯根膜は非常にデリケートな組織で、強く擦ると剥がれてしまいます。土や砂がついている場合も、軽く流す程度にとどめます。

抜けた歯の保存方法

歯を牛乳や生理食塩水に浸けて保存します。

牛乳は浸透圧が体液に近く、歯根膜の細胞を保護する効果があります。牛乳は冷蔵庫に常備されていることが多く、入手しやすいため、緊急時の保存液として推奨されています。生理食塩水も同様に効果的です。

保存液の選び方

水道水は浸透圧が低いため、長時間浸けると歯根膜の細胞が破壊されてしまいます。やむを得ず水道水を使う場合は、できるだけ早く牛乳や生理食塩水に替えてください。

専用の保存液(歯の保存液、ティースキーパーなど)があれば、それを使用するのが最適です。これらの保存液は、歯根膜の細胞を長時間保護できるように設計されており、12〜24時間程度保存できます。

受診までの対応

可能であれば、歯をすぐに元の位置に戻し、ガーゼやティッシュを軽く噛んで固定しながら、できるだけ早く歯科医院を受診してください。自分で戻すことに不安がある場合は、保存液に浸けたまま受診しても構いません。

歯の破折・出血・顎骨骨折の応急処置について

歯が折れた場合

歯が折れた場合も、折れた破片を持参してください。破片が大きければ、接着して元に戻せる可能性があります。破片は乾燥しないように、湿らせたガーゼに包むか、牛乳に浸けて持参してください。

出血している場合

唇や頬が切れて出血している場合は、清潔なガーゼやハンカチで圧迫止血します。出血部位を直接圧迫することで、多くの場合、出血は止まります。ただし、出血量が多い場合や、止血が困難な場合は、すぐに救急車を呼んでください。

顎骨骨折が疑われる場合

顎が動かせない、噛み合わせが明らかにおかしいという場合は、顎骨骨折の可能性があるため、顎を動かさないように固定し、速やかに医療機関を受診してください。

顎を動かすと、骨折部がずれたり、神経や血管を損傷したりする可能性があります。タオルやバンダナを使って、顎を軽く固定すると良いでしょう。

当院での交通事故外傷の治療

当院での交通事故外傷の治療

歯の破折の治療は、破折の程度によって異なります。

歯の破折の治療

  1. 軽度〜中等度の破折
    (エナメル質・象牙質)
    エナメル質のみの軽度な破折であれば、破折部分をレジン(歯科用プラスチック)で修復します。
    レジンは、歯の色に合わせて調色できるため、審美的な修復が可能です。修復後は、表面を滑らかに研磨し、自然な見た目に仕上げます。
    エナメル質と象牙質が欠けた場合も、同様にレジンで修復できます。
    ただし、象牙質は神経に近い組織のため、知覚過敏が起こることがあります。その場合は、象牙質をコーティングする処置を行ってから修復します。
  2. 神経に達する重度の破折 神経まで達する破折の場合は、神経の保護処置や根管治療(神経を取る治療)を行った後、被せ物で歯を修復します。
    神経が完全に露出している場合は、感染のリスクが高いため、根管治療が必要になることが多いです。根管治療後は、歯の強度を確保するために、土台を立ててから被せ物を装着します。
  3. 破片が保存されている場合 折れた破片が保存されていれば、接着して元に戻すことも可能です。破片をきれいに洗浄し、歯科用の強力な接着剤で元の位置に接着します。
    接着後は、さらに補強材料で固定し、強度を確保します。自分の歯の破片を使った修復は、色や形が完全に一致するため、最も審美的な結果が得られます。

歯の脱臼の治療

  1. 整復と固定の処置 歯の脱臼の治療では、歯を元の位置に戻し、隣の歯と固定する処置を行います。歯を元の位置に戻す際は、できるだけ優しく、無理な力を加えないようにします。
    固定には、ワイヤーとレジンを使用する方法が一般的です。隣の歯にワイヤーを渡し、レジンで固定することで、脱臼した歯を安定させます。
  2. 受診までの時間と生着率 固定期間は通常2〜4週間程度で、その間に歯根膜が回復し、歯が再び定着します。
    完全脱臼の場合、事故から受診までの時間が短いほど、歯が生着する可能性が高くなります。
    30分以内であれば80%以上の成功率ですが、2時間を超えると成功率は大幅に低下します。乾燥状態で2時間以上経過した歯は、ほとんど生着しません。
  3. 固定期間中の注意点 固定期間中は、固定した歯で硬いものを噛まないように注意が必要です。また、定期的に経過を観察し、歯の神経が生きているかどうかを確認します。神経が壊死した場合は、根管治療が必要になります。

顎骨骨折・軟組織損傷の治療

  1. 顎骨骨折の治療方針 顎骨骨折の治療は、骨折の部位や程度によって異なります。軽度の骨折であれば、顎間固定(上下の歯をワイヤーで固定する方法)で治療できます。
    固定期間は4〜6週間程度で、その間は流動食や軟食を摂取します。重度の骨折や複雑な骨折の場合は、外科手術が必要になることもあります。手術では、骨折部をプレートとスクリューで固定します。その場合は、口腔外科専門医療機関と連携して治療を進めます。
  2. 軟組織損傷の処置 軟組織の損傷は、傷口を洗浄・消毒した後、必要に応じて縫合します。傷が深い場合や神経や血管が損傷している場合は、専門的な処置が必要です。
    縫合後は、抗生物質を処方し、感染を予防します。縫合糸は、通常1〜2週間後に抜糸します。口腔内の傷は、血流が豊富なため治癒が早い傾向がありますが、傷跡が残らないよう丁寧に縫合することが重要です。

治療後の
フォローアップと長期予後

治療後のフォローアップと長期予後

交通事故外傷の治療後は、長期的なフォローアップが重要です。

特に、歯の脱臼や破折の場合、数か月から数年後に問題が生じることがあります。歯の神経が壊死すると、歯が変色したり、根の先に膿が溜まったりします。これらの症状は、事故直後には現れず、数週間から数か月後に現れることがあります。

また、子どもの場合、外傷によって永久歯の芽(歯胚)が損傷すると、永久歯の形成異常や萌出異常が起こることがあります。乳歯の外傷後は、定期的なレントゲン検査で永久歯の状態を確認することが重要です。

当院では、外傷後の定期検診を推奨しています。初期は1か月ごと、その後は3か月ごと、6か月ごとと、徐々に間隔を延ばしながら経過を観察します。長期的な予後を確保するために、患者さんと連携しながら治療を進めます。

よくある質問

Q.交通事故で歯を失った場合、治療費はどうなりますか?

A.交通事故が原因の治療は、自賠責保険や任意保険が適用されることが一般的です。保険会社に連絡し、必要な手続きを行ってください。当院では、診断書や治療証明書の発行も行っています。

Q.事故から数日経っても受診したほうがいいですか?

A.はい、受診をお勧めします。事故直後は痛みや腫れが軽度でも、数日後に症状が悪化することがあります。

特に、歯の神経が損傷している場合、数週間〜数か月後に歯が変色したり、痛みが出たりすることがあります。早期に検査を受けることで、適切な治療を行うことができます。

Q.抜けた歯が見つからない場合はどうすればいいですか?

A.歯が見つからない場合でも、できるだけ早く受診してください。歯が歯茎の中に埋まっている場合や、抜けた部位の処置が必要な場合があります。また、失った歯を補う治療(ブリッジ、インプラント、入れ歯)についてもご相談いただけます。

Q.子どもの乳歯が抜けた場合も治療が必要ですか?

A.乳歯が抜けた場合、無理に戻す必要はありませんが、受診は必要です。

乳歯の下にある永久歯の芽(歯胚)が損傷していないか、顎骨に問題がないかを確認する必要があります。また、抜けた乳歯が永久歯の生え方に影響を与える可能性もあるため、定期的な経過観察が重要です。

Q.治療後、元通りの見た目に戻りますか?

A.治療技術の進歩により、多くの場合、外傷前とほぼ同じ見た目に回復することが可能です。

ただし、損傷の程度や治療のタイミングによっては、完全に元通りにならないこともあります。当院では、機能の回復だけでなく、審美性の回復にも力を入れており、患者さんが満足できる結果を目指して治療を行います。

この記事を監修した人

埼玉志木駅前歯医者・矯正歯科 コスモクリニック院長 川村 英史

埼玉志木駅前歯医者・矯正歯科
コスモクリニック 院長

院長の川村は、一般歯科からインプラントなどの専門的な治療まで幅広く診療を行い、地域の皆様の口腔健康をサポートしています。東北大学を卒業後、日本最大のクリニックで臨床経験を積み、2016年に志木駅前歯医者コスモクリニックを開院。患者様一人ひとりに寄り添い、丁寧な説明と安心できる治療を心がけています。インプラント寺子屋2022での講演や、WHITE CROSSでの「インプラント治療におけるデジタルとアナログの融合」など講演活動にも積極的に取り組み、著書「最強の臨床術」も執筆。予防歯科を重視した質の高い歯科医療の提供を通じて、地域に貢献する医療を提供できるよう努めております。

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