口内炎ができると、食事のたびにしみて、人と話すのもおっくうになってしまいます。
多くは1〜2週間ほどで自然に治っていくものですが、なかなか治らない、治ってもまた同じ場所にできる、という方もいらっしゃいます。
口内炎は何科に行けばよいのか分からず、我慢してしまうことも多いかもしれません。
本記事では、口内炎の種類と原因、そして受診を考えるべき目安について解説いたします。
口内炎には
いくつかの種類がある

一口に口内炎といっても、その原因や見た目によって、いくつかの種類に分けられます。まずは代表的なものを整理します。
最も多いアフタ性口内炎
多くの方が経験するのが、アフタ性口内炎です。頬の内側や唇の裏、舌などに、白っぽい円形の潰瘍ができ、その周りが赤く縁取られます。
大きさは数mm程度のことが多く、触れたり食べ物が当たったりすると強く痛みます。
原因ははっきりしないことも多いのですが、疲れやストレス、睡眠不足、栄養の偏りなどが重なったときにできやすいとされています。
通常は10日〜2週間ほどで自然に治り、跡も残りません。
痛みのピークは、できてから数日のうちに来ることが多く、その後は少しずつ落ち着いていきます。
一度に1〜2個できるのが一般的で、数が多い、大きい、繰り返すといった場合は、別の原因を考えることもあります。
傷や刺激によるもの
頬を噛んでしまった、熱いものでやけどをした、歯ブラシで傷つけた。こうした物理的な刺激がきっかけでできる口内炎もあります。
カタル性口内炎とも呼ばれ、赤く腫れたりただれたりするのが特徴です。
この種類で見落とされやすいのが、口の中に刺激の原因が残っている場合です。
欠けて尖った歯、合わなくなった入れ歯、縁がすり減った詰め物、矯正装置などが、同じ場所を繰り返しこすっていることがあります。
原因が取り除かれない限り、治ってもまたできてしまいます。
ウイルスやカビによるもの
ヘルペスウイルスによる口内炎は、小さな水ぶくれがまとまってでき、破れて潰瘍になります。
発熱を伴うこともあり、唇のまわりにできることも少なくありません。
人にうつることがあるため、食器の共用などには注意が必要です。
また、口の中にもともといるカンジダというカビが増えて、白い苔のようなものが付着するタイプもあります。
免疫が落ちているときや、入れ歯を長く使っている方に見られることがあります。
これらは、それぞれに合った治療が必要になります。
口内炎が治らない原因

結論から先にお伝えすると、口内炎が長引く場合は、体の状態、口の中の刺激、そしてほかの病気という3つの可能性を考えます。
順に見ていきます。
体の抵抗力の低下
疲れがたまっている、睡眠が足りていない、食事が偏っている。こうした状態が続くと、粘膜の回復が遅れ、口内炎が治りにくくなります。
ビタミンB群や鉄分の不足が関わることもあるとされています。
複数の口内炎が次々とできる場合は、生活全体を見直すきっかけになるかもしれません。
口の中が乾いていることも、治りにくさにつながります。
唾液には粘膜を守り、傷の回復を助けるはたらきがあります。
口呼吸の癖がある方、水分をとる量が少ない方、薬の影響で唾液が出にくい方は、口内炎ができやすく、治りにくい傾向があります。
口の中に刺激の原因がある
同じ場所に繰り返しできる、いつも同じ歯の近くにできる。こうした場合は、歯や装置による刺激を疑う価値があります。
欠けた歯の鋭い縁や、合わなくなった入れ歯のふちが粘膜に当たり続けていると、傷が治る前にまた傷つけることになります。
臨床の現場では、長く治らない口内炎の原因が、実は入れ歯の小さな当たりだったというケースも経験します。
この場合は、歯の角を丸める、入れ歯を調整するといった歯科での処置によって、口内炎が治っていくことがあります。
歯科を受診する意味が大きいのが、このタイプです。
ほかの病気が隠れている場合
まれではありますが、口内炎のように見えて、別の病気が隠れていることがあります。
全身の病気の症状の一つとして口の中に潰瘍ができることもあれば、口腔がんやその前段階の病変が、治りにくい口内炎のように見えることもあります。
日本口腔外科学会でも、治りにくい口の中の潰瘍には注意が必要であることが示されています。
2週間治らないときに
考えること

では、どのタイミングで受診を考えればよいのか。一つの目安となるのが、2週間という期間です。
2週間が目安になる理由
一般的なアフタ性口内炎は、10日〜2週間ほどで治っていきます。
裏を返せば、2週間を過ぎても治る気配がない場合は、ふつうの口内炎とは違う原因がある可能性を考えたほうがよい、ということです。
それが必ずしも重い病気というわけではありませんが、一度専門的に確認しておくと安心です。
とくに注意したい変化
潰瘍の周りが硬くしこりのようになっている。痛みがあまりないのに、ただれた状態が続いている。
触ると出血しやすい。白い部分や赤い部分が、こすっても取れずに広がってくる。
こうした変化があるときは、期間にかかわらず早めの受診をおすすめします。
不安をあおるつもりはありません。多くの口内炎は心配のいらないものです。
ただ、口の中は自分では見えにくく、変化に気づきにくい場所でもあります。
とくに舌の横や下、歯茎、頬の内側は、鏡で見ても確認しにくい部分です。
定期検診では、歯だけでなく粘膜の状態もあわせて確認しています。
症状のないうちに変化を見つけられることもあるため、定期的に口の中全体を診てもらう機会を持っておくと安心です。
何科を受診すればよいか

口内炎は、歯科・口腔外科で診ることができます。
とくに、歯や入れ歯が当たっている可能性がある場合、同じ場所に繰り返しできる場合は、歯科での確認が役に立ちます。
原因となる歯や装置を、その場で調整できるためです。
発熱や全身のだるさ、目や皮膚の症状など、口以外にも症状を伴う場合は、内科や皮膚科など他の診療科での確認が必要になることもあります。
どこに相談すればよいか迷うときは、まず歯科で口の中を確認し、必要に応じて適切な診療科をご案内する形でもかまいません。
口内炎のご相談で
当院が確認していること

原因となる歯や装置がないかを調べる
当院では、口内炎のご相談があった際、まず口の中に刺激の原因がないかを確認します。
欠けた歯や尖った詰め物、合わなくなった入れ歯、矯正装置のふちなど、粘膜に当たり続けているものがあれば、調整や処置で刺激を取り除きます。
原因がなくなれば、口内炎は治りやすくなります。
あわせて、できている場所や大きさ、形を記録しておきます。
次の来院時に比べることで、治りつつあるのか、変化がないのかを客観的に判断できるためです。
専門的な判断が必要な場合に備える
長く治らない場合や、見た目に気になる変化がある場合は、経過を慎重に確認します。
当院の分院には口腔外科専門医が在籍しており、口の中の粘膜の病変についても専門的な視点で相談できる体制があります。
必要に応じて、より詳しい検査ができる医療機関へのご紹介も含めて対応します。
口内炎の治り方には個人差があり、必ずしも同じ経過をたどるとは限りません。
たかが口内炎と我慢を続けるより、原因が分かれば早く楽になれることもあります。
気になる症状があれば、遠慮せずにご相談ください。
よくある質問
Q. 市販の口内炎の薬を使っても大丈夫ですか?
一般的なアフタ性口内炎であれば、市販の塗り薬や貼り薬で痛みをやわらげ、治りを助けることができます。
ただし、ヘルペスによる口内炎に一部の薬を使うと、かえって悪化させることがあるため注意が必要です。
薬を使っても2週間以上治らない場合や、同じ場所に繰り返しできる場合は、薬だけでは解決しない原因があるかもしれません。
その場合は、一度受診して原因を確かめることをおすすめします。
Q. 口内炎が繰り返しできるのはなぜですか?
疲れやストレス、栄養の偏りが続いている場合のほか、歯や入れ歯が同じ場所に当たっている可能性も考えられます。
とくに、いつも同じ場所にできる場合は、口の中の刺激を疑う価値があります。
歯科で原因を取り除くことで、繰り返さなくなることもあります。
頻繁に繰り返し、ほかの症状もある場合は、全身の病気が関わっていないか内科で相談することもあります。
Q. 子どもの口内炎で気をつけることはありますか?
お子様では、ウイルスによる口内炎が多く見られます。
手足口病やヘルパンギーナなど、発熱や手足の発疹を伴う場合は、小児科での確認が必要です。
口の中が痛くて水分がとれない場合は、脱水に注意してください。
症状が長引く場合や、ぶつけた傷がきっかけの場合は、歯科でもご相談いただけます。
Q. 口内炎と口腔がんはどう見分ければよいですか?
見た目だけで区別することは、専門家でも難しい場合があります。
一つの目安として、2週間以上治らない、周りが硬い、痛みが少ないのにただれが続く、出血しやすい、といった特徴があれば、早めに受診してください。
自己判断で様子を見続けるより、一度確認しておくほうが安心につながります。
口内炎の多くは自然に治りますが、長引くときには理由があります。
気になる状態が続いていれば、2週間を一つの目安にご相談ください。